◆梅干し、鑑賞から薬用へ
梅は最初、漢方薬として中国大陸から持ち込まれた。やがて奈良時代には盆栽用の花木として梅が入り、庭木などにも植えられたが、これは花を鑑賞するためのもので、薬用、食用、調味料として用途が広がる。梅の栽培が普及するのは、鎌倉から室町時代。梅干しを紫蘇で赤く着色する手法もこのころからとされている。戦国時代、梅干しは野戦の食生活、薬用にきわめて貴重な存在であった。水戸偕楽園の梅、紀州、田辺の梅などは、いずれも城主が戦時に備えて奨励した梅である。
◆福神漬けとカレーライス
福神漬けは幕末の頃、上野の茶店の主人・野田清右衛門が発明した。いろいろな野菜が入っていることから、七福神にちなんで「福神漬け」と名付けられたという。大正の頃、移民などの外国航路の船旅でカレーライスの付け合わせに福神漬けを出したところ、好評であった。たまたま船客となった大阪の実業家・小林一三の認めるところとなり、昭和の初期に、阪急デパートの食堂の開店にあたり、カレーライスと福神漬けの取り合わせを出したところ、大ヒット。カレーには福神漬けはなくてはならない存在となる。
◆茶懐石と漬物
茶懐石に漬物は欠かせない。そこには必ずたくあんを入れることが決まりごとになっている。懐石の最後は、懐石で使われた、ごはん釜のお焦げと塩で味をつけた香ばしい湯(湯斗)でお茶漬けしながら香の物をいただく。その時は、禅僧の食事と同じように、お椀をきれいに拭うのにたくあんが使われるという。
◆近年の漬物・浅漬
近年は発酵の進んだ伝統的な京漬物とは別に、浅漬に人気が高まっている。浅漬とは、言葉のとおり、漬け込み期間が短い漬物のこと。さまざまな野菜を材料にできることや、柚子、シソ、鰹節、ごまなど多彩な薬味とのアレンジも可能。近年の京都の漬物は、保存食品というよりも、生鮮食品であり、早めに食べるのが、おいしさを味わうコツ。浅漬は漬かったものを洗わずそのまま食べる。
5月
07


